職場でいじめ被害にあったら

 

●職場でいじめ被害にあったらどうしたらいいでしょうか。

 

●職場でいじめられたら?

 

 分別のある大人同士の職場でもいじめが発生しています。
 徳島労働局で職場のいじめに関するアンケート調査を行いましたが、約1割の企業にいじめの認識がありました。
 陰口・悪口のような小さなことから、ミスを執拗に注意したり、無理な仕事を押し付けられたり、物を壊されたり隠されたりするなどという子供のようないじめも存在します。
 職場で「いじめられている」と感じたら、どんな対応をすれば良いのでしょうか?

 

 

 

●いじめの原因を分析する

 

 人間関係がいったんこじれると修復は大変です。
 「いじめですか、やめてください」

 

 など毅然とした態度で相手の態度を指摘しても、更に関係が悪くなる場合もあります。
 明らかに相手側に非がある場合でも、なぜ自分がいじめの対象になっているのかを分析して冷静に対応を検討してみましょう。

 

 

 

 

●反論や提案に対するいじめ

 

 自尊心が高い人物に、仕事の方法に批判的な意見を言ったり、アドバイスなどの提案をすると「自分に対抗するのか、生意気だ」などの感情を持ち、悪意を抱くことがあります。
 上司のプライドが高い場合は自己主張をできるだけ抑え、目立たないように・相手を尊重していると感じさせるようにすることで良好な人間関係を保つことができる場合があります。

 

 

 

●管理の行き過ぎによるいじめ

 

 完全主義型の上司・先輩の場合誰かが少しでもミスをしたり自分の指示どおりに動かなかったりすると、自分の正当性を主張して必要以上に相手を責めることがあります。
 特に、自分のミスには寛容であったり、指示が不十分であるのに、叱責が過大すぎる場合には問題があり、人間関係が悪くなっていきます。職場での指示・命令と責任の所在を明確にさせることが問題の解決につながります。
 行過ぎた管理は問題ですが、管理されていない会社も問題です。管理者にはその点の理解が必要になってくるのです。

 

 

 

●好き嫌いによるいじめ

 

 あの人は気に入らないとか、性格が合わないということを理由に、仕事でミスをしたから、成績が悪いからと言った様な仕事上の出来事に理由をこじつけていじめを行なうこともあります。挨拶をしない、無視する、仲間はずれにする、仕事を教えない、という消極的ないじめになる場合もあります。
 この場合は元々「いじめたい」「教えたくない」という悪意があるため、労働者側で解決するのは困難です。速やかに信頼できる同僚や上司に相談して対応を考えましょう。

 

 

 

●自主的な退職・辞職を狙ったいじめ

 

 会社は労働者を簡単に解雇にすべきではありません。解雇には正当な理由、就業規則に基づく根拠が必要です。解雇に正当な理由がない場合、労働者が自主的に辞める方が都合が良いので、机を廊下に出すなど陰湿で組織的ないじめが行われることがあります。
 この様なやり方をされた場合、退職願などを書かずに、各種の相談機関や労働組合などに助けを求めて対応するのが良いでしょう。

 

 

 

●職場いじめと環境配慮義務

 

 会社内での人間関係には、部署、職制による以外に、好き嫌い、主義主張、派閥など人間的な要素が加わって問題が発生します。
 会社は「私的な紛争には介入しない」と見過ごしてはいけません。
 会社には労働者が快適に働けるように職場を管理する義務があるからです。

 

 

 

●職場環境配慮義務とは

 

 会社は労働者が働くための環境を安全・快適にしておく必要があります。これを職場環境配慮義務と呼んでいます。(民法第715条参考※)
 労働契約は人身売買ではありません。人間を使う以上、職場環境に配慮する必要があります。
 陰口やセクハラ、不平等な扱いがなされ、正常な労働が提供できないという労働者がいる状況では、職場環境を整えているとは言えません。
 本来チームワークが重要なビジネスの世界で、いじめの苦痛に耐えて働くことは異常な事態ですし、社会にとっても損失になります。
※【使用者等の責任】
 民法第715条 ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。
 ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
2
 使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。
3
 前2項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。

 

 

 

●職場いじめの特徴

 

 職場でのいじめ・嫌がらせの大きな特徴は、仕事上の指導や注意を装った形で行われます。ミスを必要以上に強調し、特定の人の評判を落としたり、自信を喪失させます。
 仕事の内容やミスを大声で怒鳴りつけ、繰り返されると仕事への意欲を失います。「ダメ人間」など人間性を否定する言い方を毎日繰り返され、精神障害になる場合もあります。誰しも多少のミスや苦手な仕事があり、仕事に不慣れな時期は出来なくても当然です。

 

 

 

●まずは同僚・上司に相談を
 いじめや嫌がらせの被害に遭ったら、一人で悩んだり抱え込まずに同僚や上司に相談しましょう。
 我慢したり、仕返しをするのはよくありません。あなたが非難される原因にされてしまいます。
 いじめの状況を周囲に理解してもらい、いじめの防止ができる場合があります。いじめに理解を示してくれれば、精神的に楽になります。
 働きやすい職場を整える義務、職場環境配慮義務は会社の責任です。上司や会社が中心となって組織全体で問題解決に当たるのが正しい対処法なのです。

 

 

●パワーハラスメントとは
 パワーハラスメント、いわゆるパワハラという言葉を最近よく聞きます。パワーとは権力など人間関係における強制力のことです。
 パワーハラスメントとは、仕事上の上下関係・権利関係を不当に利用することによる嫌がらせ・いじめなどを指す言葉です。
 以下に、パワーハラスメントの例を挙げてみます。

 

 

●クビ(解雇)するぞ!と脅す
 労働者をクビ(解雇)にするには正当な理由や根拠が必要です。
 解雇されるほどの理由が無いにも関わらず「お前なんかいつでもクビに出来る」と脅す行為はパワーハラスメントと判断されます。
 また、解雇とは言わないまでも
「この仕事、君には向いていないんじゃない?」「転職を考えた方がいいよ」
なども精神的なストレスを与える目的、悪意があれば問題です。(これらを退職勧奨=退職を勧める言い方、といいます。)

 

 「やる気が無いなら辞めるべき」とのメールを職場関係者に一斉に送信した上司の行為について慰謝料の支払いが認められています。(A保険会社上司(損害賠償)事件・東京高判平17.4.20

 

 

 

●必要以上にミスを追及する
 些細なミスであるにも関わらず必要以上に怒鳴りつけたり、指摘を繰り返すことによって労働者に対してストレスを与えるというのも典型的なパワーハラスメントの例です。
 ひどい場合は暴力にまで及ぶ事もあり、これはパワーハラスメントというだけでなく傷害罪などの刑事罰に問われる可能性があります。

 

 製造長の叱責、反省書の要求により労働者が心因反応を起こしたとして慰謝料の支払いが命じられています。(東芝府中工場事件・東京地八王子支判平2.2.1

 

 

 

●残業を強要する
 時間内ではとても終わりそうにないような仕事を押し付ける。

 

「まさか残業なんて付けないよな?」

 

などサービス残業を暗に強いることも問題です。

 

 サービス残業は不当な行為ですので、サービス残業を断ったからと言って不利益な取り扱いをすることも許されません。

 

 

 

 

 

●無視する・仕事を与えない
 仕事場から強制退去されられたり、仕事を与えない、話し掛けても無視されるというパワーハラスメントも存在します。
 これも労働者にとっては耐えられないストレスとなります。

 

 業務を命じることが社会通念上当然であるのに、仕事を与えないことは不当行為に当たるとして、慰謝料・損害賠償が認められる場合もあります。(松蔭学園事件・東京高判平5.11.12

 

 

 

●飲み会への参加、飲酒を強要する
 就業時間以外の行動を束縛することも、飲酒を強要することも仕事上の権限を超えた不当な権力行使に当たります。
 誘いを断った労働者に不利益取り扱いをすることも不当な行為といえます。

 

 

●パワーハラスメントはなぜ起こる?
 本来、上司・部下といった関係はあくまで雇用契約上での上下関係です。
 上司にあたる人は、いつも命令をしているために、人間的にも偉いのだと思い込み、部下に当たる人物の人間性を否定するような言動をしたり、仕事上の権限を超えて命令をしたりする場合があります。
 これがパワーハラスメントの原因になる事が多いのです。

 

 

●いじめ・嫌がらせ対策の基本
 それでは実際に職場でのいじめや嫌がらせのターゲットになってしまった時の対策を考えてみましょう。

 

 

●いじめ・嫌がらせの記録を付ける
 いじめ・嫌がらせと感じたら、その状況を記録しておきましょう。録音など出来ればいいですが、その場の状況が分かるメモがあれば、人に説明するのが容易になります。記憶に頼って被害状況を説明する場合、相手になかなか伝わりません。
 日時や周りに誰が居たかなど詳しいほど信憑性が高まります。記録、日記、遺書などが裁判の証拠として採用されることがあります。

 

 

●会社にいじめを文書で報告して対処を求める
 労働者がいじめ・嫌がらせをした本人と争っても問題は解決しない事が多いです。
 当事者同士話し合っても、互いに悪いと言い合うだけで埒が明きません。当事者間で収まるのであれば問題には発展しません。

 

 まずは直属の上司に報告して、改善策を出してもらうのが良いでしょう。
 改善の要望を文書で提出し、改善要求をしたという証拠を残すことが、後々解決が難しくなった時のためになります。
 一方的に加害者が悪い場合は、注意や懲戒処分が行われることもあります。

 

 

 

●こんな対応には要注意
 社内いじめを報告した時に返ってくる返答にも色々ありますが、会社がいじめを認めない、対処しない場合は解決されないので注意が必要です。
 結果として「会社としての対応はこうです」という文書をもらっておきましょう。

 

 

●問題を重視してくれない
 「仕事の上での指導だから」と加害者を正当化したり、「本人同士でよく話し合って」等と他人事のように放置される場合があります。
 社内でのいじめというのは個人同士の問題ではなく会社が就業環境配慮義務に則って予防・対処するべきものです。職場の環境を整えるのは会社の責任なのです。
 会社・上司がこのような対応だった場合は、人事や労働者を管理するための基本的な知識を持っていない会社である可能性があります。

 

 

●あなたのミスだから仕方ない、と言われる
 例え仕事上のミスをしたとしても他の人と比較して不当に低い評価を受けたり、特別厳しい指導を受けた場合は不平等で合理性が無い指導であると言えます。
 業務の指示、命令にこじつけていじめるというのが実は社内いじめの典型的なパターンなのです。
 注意・指導であっても行き過ぎがあれば人権侵害である、という事を理解していない上司や会社に社内いじめを解決する能力は無いでしょう。

 

 

●上司や会社ぐるみでいじめられる
 特定の上司にいじめられる場合は、その上司よりも上の権限を持つ上司・部署へ相談をすることになりますが、相談しても解決しない場合や会社ぐるみで辞めさせるようないじめの場合は、一人で悩んだり自分から辞職したりしないで、各種の相談窓口に相談して協力を求めるのがよいでしょう。
 徳島労働局では、いじめを止めるように会社に助言をしたり、慰謝料を求めるあっせん制度を利用することが出来ます。

 

 個別労働紛争解決援助制度について

 

 

 

 

この記事に関するお問い合わせ先
雇用環境・均等室(労働相談) TEL : 088-652-9142
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